メニュー
3-6-35mahorobakanⅡ-A, Kokufu,
Joetsu-shi, Niigata, 942-0082, Japan
コラム
column

平屋は贅沢なのか?

来週見学会を迎える「サクラ下の平屋」はタイトルにもあるように平屋の住まい。 この平屋を計画、工事、見学会告知するにあたり、本当に様々な人に「今回は平屋とは、贅沢だねぇ。平屋が本来いいよなぁ。」って言葉を何度聞いたことか。 一般的な感覚として「平屋=贅沢」がこんなにも定着しているものかと思いました。

そんなことを聞くたびに、平屋が贅沢と言われる所以は何だろう。。。と考えてみるのです。 こちらは、平屋を贅沢として捉えずに暮らし方と敷地のあり方から導き出していたので、贅沢普請な家づくりにあまり興味がありませんでした。

平屋が贅沢と言われる一つに、造り手から考えてみれば基礎が2棟分、屋根が2棟分というところがあるだろう。

今回工事をしてみても、基礎と屋根のコストは通常よりも多かった。 (地盤補強も通常より多いけど、この場合、敷地の強度によって改良杭の深さが影響するからあまり考えないでおこう。) でも2倍まではいかなかった。 総2階の造りで、コストを極限まで抑えた住まいと比較したら確かに贅沢かもしれない。

だけど、普通に注文住宅をやる分には、目に見張るような、これは贅沢だろうと思うようなコストアップには繋がっていないような気がする。 屋根と基礎分のコストアップは平屋の場合出てくるけど、足場がコストダウンしたり、メンテナンス時に足場が必要ないので手入れしやすく、屋根も低いので外壁等の劣化も防げるし、暮らしてからのメリットは多くなってくる。 建てる時の費用(イニシャルコスト)だけを見比べると、確かにコストアップする要素はあるが、住んでからのメンテナンス費用(ランニングコスト)まで含めると、家の寿命を換算した時には、等価になるか、寿命が伸びればさらにお得になる。

ライフサイクルコストの上では、平屋の住まいの方が大いにメリットがあり、これを贅沢と言っていいのかとも思う。 贅沢した方がお金がかからないなんて(笑)

平屋が贅沢と思われるもう一つの理由として、敷地をたくさん必要とするところだろう。 暮らしの工房で建てる家がだいたい30坪前後が多いけど、平屋なら30坪のスペースが必要。2階建てなら半分の15坪(現実には下屋もあったりするから20坪程か)。

建築基準法では、敷地に対する建物が建てられる上限が決められていて(建ぺい率)、50%とか60%など、地域によって割合が決められている。 建ぺい率50%としたら、平屋なら60坪の敷地が、2階建てなら30坪〜40坪が必要になる。

駐車スペースや敷地の余白を加味するなら、平屋は80坪程、2階建てなら50坪〜60坪の敷地が欲しい。 敷地の差は30坪程、平屋の方が必要になる。 坪100万円はする都会の敷地ではえらいことだ。。。平屋にすると家一棟分の金額に相当する敷地が必要になる。 これは、平屋は贅沢の極みです。 だから「平屋は贅沢」と言われるのでしょう。納得。 だけどこの理論は、田舎には全く当てはまらない。 上越では土地の値段なんて都会に比べるとあってないようなものだし、そもそもだいたい80坪程度で売買されていることがほとんど。 周辺環境との兼ね合いもあるけど、平屋適性の高い敷地が多いのが上越地域なのではと思います。

また、今回平屋をつくって感じたことは、2階建ての同坪数と比較すると明らかにゆったりと広い空間に感じられる。 この現場に訪れる職人さんたちは、明らかに数字的に勘違いすることが多い。 この辺りの感覚はうまく謎が解けない。

2階建てでは階段スペースが2坪含まれる。 2坪は畳4畳分。さらに、階段に接続する廊下なども含まれると6畳ぐらいのスペースが必要。 平屋は階段がない分、その6畳が暮らしのスペースへと割り当てることができるし、小さくもできる。 暮らしの工房の家づくりでは6畳のスペースは、いろいろな快適空間を提供できるとても嬉しいサイズ。 ただの通路が豊かな空間へと変わることで、ゆったりとした住まいになるのだろう。

そう考えると、無駄(階段という役割があるから無駄とまでは言わないが、平屋には必要ないので)なスペースが必要になる2階建ても贅沢なのではないかと思うのです。 こうなってくると、「贅沢」の意味を考える必要がありますね。

平屋って小さくてもゆとりを持って豊かに暮らすことができる住まい方なのだと、今回つくってみて感じています。 平屋はゆったりと豊かな暮らしができる贅沢さを持っていて、生涯コストが抑えらえる賢い家づくりかもしれない。

小さな家こそ平屋にしてゆったりと快適に暮らすことのできる住まいがいいのではないでしょうか? そこには「贅沢」というステータスではなく、暮らしやすさという快適性があると思います。

そんな平屋を体感できるサクラ下の平屋の見学会は、来週3/10(土)、11(日)です。 予約制の見学会のため、ご連絡してご希望時間を指定していただいております。 ①10:00 ②11:30 ③13:00 ④14:30 ⑤16:00 予約の申し込みも増えてまいりました。 見学会ご希望の方はお早めにご連絡ください。


関連記事
  • 家の灯りとインテリアの関係

  • 木の家と庭のある家

  • 家を建てるための土地探しのコツ。

  • 家づくり教室~土地を探る~

  • artekと北欧の暮らし方と雪国の暮らし方。

この記事をシェア