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3-6-35mahorobakanⅡ-A, Kokufu,
Joetsu-shi, Niigata, 942-0082, Japan
コラム
column

懐かしい風景、変わらない風景をつくるために。

ケヤキ下の家には元々の敷地の所有者が植えていた樹木が数本ありました。 暮らしの工房では、敷地に元々植わっていた樹木たちは、極力利用して家を建てたいと考えています。 計画によっては邪魔だなと思うかもしれない樹木。 だけど、家が作られる前からその場所に居ついている先輩たちには、時間の継承、風景の継承の役目を担ってもらいたい。 そう思っています。 周辺に住む人たちが、家が建つことでガラッと雰囲気が変わってしまうのを感じてしまうのはやむを得ないことですが、「あの木はずっとそこにあるね。」と思ってもらうことで、風景や懐かしさを守ることができたらいいなと思っています。

周辺の人たちがその木を目印に、記憶をつないでいくと同時に、住まう人にとってはこれからつくっていくストーリーの拠り所に。 何十年経った時、子供が大人になった時、木があることで変わらない風景、懐かしい風景、記憶の中の風景をつくりたい。そう思っています。 それだけ時間と風景というのは、人にとって大事なことです。 そのために家を設計する時に、土地読みをしっかりして、敷地にある要素がプラスの力に変わるように設計するのです。

今回のケヤキ下の家では、元々植わっていた木の下を通ってアプローチする計画。 直接建物に影響することはないけど、少しは先住する樹木たちと呼応させたい。 新築する上でも、その敷地に適応するように計画します。

敷地の樹木を切るか切らないか悩む中で、このようなお話をさせていただいて家づくりさせていただいていますが、たくさんのオーナーさんの意識が自分だけでなく周りにも向いていることが、この仕事をしていてたいへん嬉しいことです。

今回のやり取りの中のオーナーさんの言葉をご紹介。

「建築素人ながら、私もいろいろ思うことがあります。建物を建てるという行為は、それが個人の家であったとしても、かなり公共的な行為であることを自覚しなければならないのではないかと。 そんなふうに思っていましたが、いまあらためてそう思います。 そう思うと、あの木も愛おしく思えてくるから不思議です。」

オーナーさんの言葉としてこの言葉が出てくることに、たいへん感動しますし、そんな感性のオーナーさんの住まいを一緒につくっていることにたいへん感謝いたします。 つくづくオーナーさんたちに恵まれた環境で仕事ができていることに幸せを感じています。 ありがとうございます。

「ケヤキ下の家」 見学会のお知らせ

9月9日(土)、10日(日)に予約制の完成見学会を開催いたします。 時間は両日とも 10:00、11:30、13:30、14:30、16:00 ご希望の日時をご連絡ください。 会場は新潟市北区内。ご連絡いただいた方に詳細の場所をお知らせいたします。 お問い合わせください。


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