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コラム
column

壁紙と塗り壁を考える。

ケヤキ下の家は壁天井全て塗装仕上げ。 この頃壁紙が多かったけど久しぶりにオール塗りの内装。 光が綺麗でやっぱりいい。 何が違うんだろう…と考えてみた。

壁紙は製品上、工場生産されて現場に運ばれてくる。 だからどうしても運搬できるサイズで製品が決まる。 それを現場で職人さんが貼り合わせる。

塗装や左官の材料は現場で練り上げたり、工場生産でも半製品として現場に入ってくる。 それを職人さんが塗っていく。

幅が決まった材料はどうしても貼り合わせを意識してしまうのに対し、塗りなら継ぎ目は関係ない。 いや、関係ないというと少し違うくて、塗りつぎを極力目立たなく塗っていくのが職人さんの技術で価値。

無意識に継ぎ接ぎを感じてしまう壁紙と、継ぎ接ぎがなく包まれるように感じる塗り仕上げ。 塗り壁の方が光が柔らかく「ふわっ」とした感じが優しくていい。 それが塗り壁ならではの仕上がりだと思います。

これは家づくりを頻繁にしているプロならではの目線かと言えば、実はそうではない。 普通の人もすぐに感じ取る感覚なんです。

以前、減額案を考えながらいろいろと打ち合わせした時に、内装の減額案にも手をつけたことがあります。 上記の壁紙と塗りの違いを説明しながら選択してもらったのですが、「素人は光の加減とかわからないから壁紙にしよう。でもリビングはそのまま漆喰がいいなぁ」となり、私も「そういうものか」と仕上げを場所によって変えたことがあります。

そして完成した家。 住まわれてから感想として「やっぱり漆喰と壁紙でぜんぜん違う。言っている光の違いがすごくわかった。あれぐらいの差額だったら漆喰にすればよかった」とお聞きしました。 比べるものがあるというのはとても気になる状態になるのだなぁと感じ、それ以来内装仕上げを単純に分けることはやめました。

私自身も何棟も建てているから比較できて違いに気づいているだけで、これはプロだとか素人だとかではなく、人は敏感に感じることがあるのだなと思います。

壁紙は壁紙の良さもあるし、塗りは塗りの良さがある。 そこらへんを考えながらわきまえながら家づくりを提案していきたい。

そして内装仕上げは贅沢品ではないということ。 高級な住設機器に予算を投入するぐらいなら、内装仕上げに予算を費やした方が絶対心地よくてお得。

住設機器は入れ替えが前提ですから、入れ替えのきかない部分に予算を当てた方がいいというのが私の考え方です。 キッチンなんかは一般の人でも違いがわかりやすいけど、憧れやすいけど、家で心地よく暮らしたいと思っているなら、住設機器より他の部分にスポットを当てていただきたいと思っています。


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