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コラム
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家づくりと性能値。

最近の家づくりはいろいろなことに数値化が求められています。 熱の逃げにくさを表す数値(UA値)や、それを元にどれぐらいのエネルギーが家にかかるのかを表すエネルギー消費量(車で言う燃費)、耐震等級は家の強さを表す数値。 暮らしの工房でもこれら数値はしっかりと確認して、計算書等を提示して家づくりをしています。

暮らしの工房のスタンスとしては、数値の追いかけっこは全く意味がなく、一つの確認作業としてしか考えていません。 中には数値だけで家の良さが判断されるかのごとく広告を見かけますが、暮らしの工房の家は「住まう人が心地よく豊かに暮らす」ためにあると考えているので、数値=家の良さとは全く考えていません。 では、それでもなぜ数値や計算を行なっているか? それは、心地よさを得るための要素の一つだから。 数値は絶対的ではなく、要素の一つです。

どんなに心地よい空間でも、寒さや暑さなどの身体的負担が大きければ心地よくありません。 家の強さに不安があっては、家は長持ちしないので豊かにはなれない。 そんな心地よく豊かな家をつくるための、あくまで大事な要素が数値での確認であって、数値が絶対的ではないのです。

こういうと数値に自信がないのかと思われますが暮らしの工房の性能は、いい家と良く言われるゼロエネルギーハウス(ZEH)の基準を余裕でクリアする性能が標準。 創エネ設備(ソーラーパネル等)さえ乗せてしまえば余裕でZEHになる基準で家づくりをしています。 ソーラーパネルについては、いろいろと思うことがあるのでそれは次の機会に。

写真は先日お会いした方の敷地。 西に綺麗な山が見え、壮大な素晴らしい環境が広がっていて、一目であの景色を眺めながら暮らせたら最高だろうなぁと感じました。 この敷地の絶対的なポイント。 南側は家が建ちそれほどいい環境とは言えない。

その方は「西側に窓を設けるなんてとんでもない」と住宅メーカーのいろいろな人に言われていて、かなり残念がっていました。

話は少しズレますが、ここで家づくりのセオリーを一つ。 窓のとりかた。 基本的に窓は東、西には極力取らずに南に多く取る。北は熱を逃がさぬように窓を取るというのがセオリー。 それはなぜかというと、東と西は夏の日射熱を考慮するということ。朝日と夕日は太陽高度の低い位置(真横)から光が差し込むので、日射を遮ることが難しく、断熱性能のいい家では朝からいきなり家の温度が上がり、なかなか温度が抜けない(朝の場合は日中に温度が上がるので日の出とともにフルスロットル)、夕日の日射熱を入れ込むと夜間にも温度がキープされてしまう。

そうすると冷房エネルギーが多くかかってしまって不利だよね。ってことがある。 南は、冬と夏の太陽高度の差を利用して、庇などで調節しやすく、冬場の暖かい太陽は入れやすく、いらない夏の太陽は遮ることがしやすい。だから南に窓がいっぱいあるととくだね。ってことに。 北は安定した光が入るので、適度にあってもいいけど断熱性能はしっかりと。 というのが窓配置のセオリー。

だから住宅営業のいうことは教科書では正しい。 このセオリーは、エネルギーの観点だけのセオリー。 これらを忠実に守ると、宣伝しやすい、わかりやすい数値がどんどん良くなっていきます。 究極は窓が極端に少ない箱で、少量のエネルギーで空調できれば、数値は良くなり営業トークもしやすくなる。

だけど、たかがそんな数値だけで、見たい風景が見れなくて、見たくもない隣の家ばかり眺めなければならないなんて、そんな気持ちの悪い家ありえないでしょ。 数値だけで家の判断をすると、とんでもない家ばかりできてしまいます。

家づくりは周辺の読み取りが大事で、数字との折り合いをつけながら、楽しい、気持ちのいい暮らしが出来る住まいにするのが本質なんじゃないですか?

私がここで家づくりするならば、どう考えても西の風景を取り込む努力をする。 じゃぁ西陽はどうなるの? って言ったら、外付けのブラインドはあるし、簡単に簾を下げても効果的だし、中間領域を作ったり、建築的工夫、暮らしの工夫でそんなモノはどうにでも対処できるのです。 数値に左右されて家づくりをするのではない。 数値は心地よい家をつくるための手段であって目的ではないのです。

いくら燃費のいい車といっても、軽量化のために一人しか乗れないとか、発進のスピードがノロノロだったり、明らかにダサいデザインだったりではドライブしていても何も楽しくないし、車の意味がない。

燃費も良くて、乗り心地も良くて、ドライバーの使い勝手が良く、デザインもいい。そんなトータルバランスが大事。 そんなスタンスが家づくりだと思います。 (車に対して興味がないのに、燃費だけで例えてしまったが、わかりづらくすみません。汗)


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