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コラム
column

杉板外壁の経年変化。一年。

 住宅を設計している中で外壁は見た目の好みに分かれる大事な部分かもしれません。

でも、見た目以上に大事だと思っていることがあります。

それはメンテナンス性と耐久性。

見た目の好みは住まいの時間軸で見てみると、30代、40代、50代、60代、70代、80代、90代、100代、110代。。。(どこまで生きる気だ。。。)その時々で必ずと言っていいほど好みは変化していきます。

30代の感性とその時の流行りだけで選んでしまったら早ければ数年後には恥ずかしい思いをするかも。。。

そうならないために重要なことは、「無難なモノ、外観にする」ではなく、普遍的な価値観のもの、佇まいの美しい外観を設計するということにあると思います。

普遍的な価値観、美しい佇まいというとなんだか漠然としていますが、私の中で定義づけするならば「カッコイイ」「カワイイ」という感覚は時代を反映するもののような気がして、「美しい」「愛嬌」というものはどの時代も変わらない感覚。

美しい。愛嬌のある。そんな住まいをつくりたいなぁと思っています。

そして、その美しいというものは、昔から地域で醸成してきたものに大きなヒントがある。そう思います。

地域で残るものは、その地域の環境や特性に馴染んだもの。長い時間耐えられたもの。

外観や素材でいえば、メンテナンス性と耐久性を備えたものであると。

そんな住まいを目指したいと思いながら、日々家づくりしています。

 

そんな価値観で作られる暮らしの工房の住まい。

外壁材は左官仕上げや木を張ったものが多く、最近は木の外壁を選択する方も増えました。

そこで悩まられるのが「木って本当に大丈夫?耐久性悪いんじゃない?腐るんじゃない?」という不安。

木はもちろんいつか腐るし、腐ったらメンテナンスは当然必要です。

そういうとなんだかとっつきづらい感じが出てきますが、適切に使えば木が使用不能になる時間軸は、多く流通しほとんどの住まいで使われているサイディング系の外壁材と比較したらはるかに長持ちし、高耐久であるといえます。

と言っても、まだ信じ難い方も多い。

建築に携わる人間として街並みを見てみると明らかに、長く持っている古いサイディングの住まいは見る事ができず、シルバーグレーで一体どれぐらい前から建っているのだろうという木の外壁を使った住まいはよく見ることができます。

海辺の街並みは特に。瓦屋根とセットで。

木の外壁と瓦屋根の住まいは高耐久であることが唯一実証されているのではないでしょうか?

 

おそらく、木や瓦(いつの間にか瓦が登場。。。)が敬遠されてきた原因の一つに、長時間耐えた末の木が痛むのを目の当たりにしたり、雨漏りを目の当たりすることが、時間軸がなかったことになりその事象だけが印象的だからなのかと勝手に思っています。

サイディングなどの工業製品はダメになる前に粘ることもできずに早い段階で変えら、廃棄され、手を打たれているのだろう。

 

そう考えると今のところ、高耐久、メンテナンス性に優れているのは木という素材かなと思います。

 

そんな杉板の外壁を使った風景と暮らす池畔の家も一年が過ぎ、少しずつ時間を纏い、少し成熟してきました。

外観デザインは写真奥にある乱立する農小屋先輩から踏襲しています。

写真は西側。風雨に晒され、紫外線に晒され、木の色素が抜けてシルバーグレイがどの面よりも進んでいます。

農小屋先輩から見たらまだまだペーペーですが。

新木の色も良かったけど、やっぱりシルバーグレーの落ち着いた成熟みがとても美しいと思います。

シルバーグレーの家が古臭くヤボったく見えてヤダという声もありますが、そこは設計の勝負。

美しい佇まいを目指せば絶対にそんなことはない。はず。

そんな挑戦をしています。

南、東面。

こちらはまだまだ生まれたてな感じ。軒先はじっくり熟成されていく。

変わらない、変化しないというものは面白くない。

杉板を纏う外壁は、時間と空気を吸収し、時間を感じ、見ることができるようになる。

時間を感じるというのは美しさにつながると思う。

さらに今日雪が降り、モノクロの世界に杉板の存在感とても相性良く見えた。

シルバーグレーになったらより素敵だろうなぁと想像を膨らませながら。

杉板と日本海側の冬の空、雪景色はとても良く似合う。

風景と暮らす池畔の家はすっかり風景として馴染んだように思えた。


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